一票の価値の平等
憲法の保障する平等選挙は『一人一票の原則』と『一票の価値の平等』があります。
人口の大都市への集中などの問題から、各選挙区で議員定数が人口に対して比例していない=地域によって一票の重みが違う問題が生じています。(一票の格差)
ここでは『一票の価値の平等』について、判例をみながらまとめていきます。
衆議院議員選挙における投票価値の平等の判例
①最大判昭51.4.14
•選挙人数の較差は最大で1:5→違憲
•行政事件訴訟法31条の事情判決の法理により選挙を無効とせず違憲の宣言にとどめた。
※事情判決の法理とは
行政庁の処分や裁決は違法であるものの、これを取り消すと公共の利益に著しい損害が生じるおそれがある場合に、様々な事情を考慮した上で、原告の請求を棄却すること。
② 最大判昭60.7.17
•昭和58年施工の衆議院議員選挙当時、全体として憲法14条1項に違反していたとしつつ、事情判決の法理により、選挙を無効とせず違憲の宣言にとどめた。
③ 最大判平23.3.23
•2009年第45回衆議院選挙に関して、投票価値の平等に反するとしたが、憲法上要求される合理的期間内に是正されなかったとはいえないとして、「違憲」ではなく「違憲状態」と表現した。
④ 最大判平25.11.20
•2012年12月の第46回総選挙において、憲法上要求される合理的期間内に是正されなかったとは言えないとして、「違憲」ではなく「違憲状態」と表現した。
⑤ 最大判平27.11.25
•2014年12月の第47回総選挙において、一人別枠方式を廃止した後の新たな区割り基準に基づく区割りが行われていない都道府県があり、「違憲状態」であるとした。
参議院議員選挙における投票価値の平等の判例
① 最大判平8.9.11
•1992年の参議院通常選挙において、違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態にあったと判断したが、選挙までの間に国会が議員定数配分規定を是正する措置を講じなかったことをもってその立法権裁量権の限界を超えるものと断定することはできないとして違憲とはしなかった。
② 最大判平24.10.17
第22回参議院議員通常選挙は、選挙までの間に参議院議員定数配分規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えないが、最大較差1対5.00は違憲の疑いが生じる著しい不平等状態にあったと判示した。
③ 最大判平26.11.26
第23回参議院議員通常選挙は、違憲状態であったが、当該選挙までの間に更に当該規定の改正がされなかったことをもって国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず、憲法14条1項などに違反するとはいえないとした。
④ 最大判平29.9.27
合区が導入された後、初めて実施された第24回参議院議員通常選挙について、投票価値の不均衡は、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったとはいえず、憲法に違反するに至っていたとはできないとして合憲とした。
押さえておきたい点
•衆議院においては過去には違憲判決が下されたもの、事情判決の法理により選挙自体は有効にされた。
•参議院においては衆議院より若干緩やかな判断。
